本研究の結果の中で次に注目されるのは、「所得」と「大院卒」の感度符号が正で、両者の影響度の合計が31.1%に達し、高学歴高所得女性の増加が未婚率の上昇に大きく寄与するという結果である。

この問題に関する先行研究はいくつかあり、たとえば女性の晩婚化について線形重回帰を行い、高学歴は結婚相手との出会いを遅らせ、晩婚化を促進する最大の要因であるという論文もある(金子、1995)。

働き方の変化

未婚率に直結するもう一つの「結婚からの逃走」と「家族からの逃走」は、働き方に関連が深い。デジタル化に象徴されるように、「還暦社会」までには想定できなかった社会現象が増えてきて、その結果、職業の種類も豊富になり、働き方の多様化を推し進めた。

だから四大卒でも正規雇用ではなく、非正規雇用で済ませて、自分の時間を大切にするという選択肢が広がる。また、家庭の事情で「子育てや介護など家庭の事情との両立」が必要な若者がいる。

非正規雇用を行う企業の理由

高度成長期には、建設業や自動車製造に象徴的な「季節工」がたくさんいたという記憶がある。これは東北地方や北海道では、積雪寒冷のために冬場の農作業や建設業が不可能になるために、本州に「出稼ぎ」に出ていた農家の男たちを表した表現である。

しかし、寒冷地でもビニールハウスや建築技術の高度化で冬場でも活動が可能になり、20世紀末までには「季節工」が徐々にいなくなった。

その代わりに、企業がコスト削減、柔軟な雇用調整などを念頭に非正規雇用を重視して、特に小泉内閣の時代にそれが全ての業種で解禁された。

非正規雇用を選択する若者の理由

よく言われるのは、既述したように「働き方の多様性」を追求する若者の価値観であり、「自分の都合の良い時間に働きたい」という理由に象徴される。

もう一つは大学は卒業したものの、本人の学力などで「正社員になれない」若者が増えてきたこともある。

「労働力調査」