ただし、次のような場合は例外となります。

その活動が本業に重大な支障を及ぼす恐れがある場合(例:疲れやケガによって仕事に差し支える) 会社の信用やイメージを著しく損なう行為がある場合(例:暴力事件や反社会的勢力との関与) 会社の機密情報漏洩や競業にあたる場合

こうした場合、就業規則に「会社の許可なく副業や一定の活動を行ってはならない」といった規定を設け、違反時には懲戒処分を科すことが認められることがあります。

ただし、規制の範囲や処分の重さは一般常識で考えて合理的である必要があり、過度な制限は無効と判断されるリスクもあります。

とはいえ、処分を下す側も人間です。もし、就業規則の規制に反してスポーツ大会に出て重傷を負い、仕事ができなくなったとしたら、解雇される危険性もあります。

交通事故等のケガであれば、通常は休職に入り、回復すれば復帰できるものですが、「会社の秩序を乱して勝手にケガをした社員に休職という恩恵を与える必要があるのか」という感情から、復帰が難しくなることは十分考えられます。

当然の事ながら、このような会社側の処分が適切なのか、適法なのかは他の様々な事情も絡むことから判断は分かれると思いますが、それだけ就業規則と社員の関係は単純ではないということです。

メディア企業の特殊性

一方、フジテレビのようなメディア企業では、社員の私的活動が会社のブランドや社会的信用と直結しやすい特殊事情があります。テレビ局の社員が格闘技大会に出場し、その様子が広く報道されることで、会社のイメージや放送倫理に影響が及ぶ可能性があるからです。

このため、メディア企業では「業務に支障をきたす恐れがある活動」「会社の名誉や信用を損なうおそれがある活動」については、就業規則で事前申請や許可制を設けるケースが多くなります。今回の事例も、会社側が「業務や会社のイメージへの影響」を重視し、申請に許可を出さず、さらに無断出場に対して戒告処分を下したものと考えられます。