ウザ強さんは、フジテレビ入社前から格闘家として活躍しており、入社時点ではプロスポーツ選手としてのネームバリューが有利に働いたはずです。しかし、フジテレビは現在中居正広氏の性加害問題で大逆風の中にあり、社員の業務外の活動についても過度に防衛的になっていることが想像されます。この間の事情もメディア企業特有のものだと言えるでしょう。
懲戒処分の有効性
就業規則に禁止規定があったとしても、それだけで自動的に懲戒処分が有効になるわけではありません。実際に懲戒を行うには、法的にも判例上も、いくつかの厳密な条件を満たす必要があります。主なポイントは次の4つです。
就業規則に根拠規定があり、周知されていること まず、どんな行為が懲戒の対象になるか、就業規則にきちんと書かれていることが必要です。また、その内容が社員にしっかり伝わっていることも大切です。たとえば、社内掲示やイントラネットなどで、誰でも確認できる状態にしておくことが求められます。 懲戒事由に該当する事実があること 実際にその禁止規定に違反した、という事実がなければなりません。会社側は、何が起きたのかを客観的な証拠で示す必要があります。曖昧なまま処分することはできません。 処分の重さが社会通念上相当であること 違反があったとしても、処分が重すぎては認められません。たとえば、ちょっとしたミスでいきなり解雇、というのは行き過ぎです。行為の内容や悪質性に見合った処分かどうかがポイントになります。 適正な手続きが踏まれていること 最後に、事実確認や本人への説明、弁明の機会をきちんと設けるなど、手続きが公正に行われていることが必要です。手続きがずさんだと、処分自体が無効になることもあります。
これらの条件がそろって初めて、懲戒処分は有効と認められます。
個人の自由と会社の秩序のバランス
今回のフジテレビ社員の戒告処分という事例から読み取れるのは、社員の私生活の自由と会社の秩序維持・信用保護という二つの価値観のバランスが、現代の職場ではより重要になっているということです。