最低賃金が引き上げられる中で、低価格を維持し続けている企業も存在する。その代表例がサイゼリヤである。

ファミリーレストラン業界の中でも、サイゼリヤは極端な低価格戦略をとっている。「ミラノ風ドリア 300円」という圧倒的な安さを実現しているが、その裏にも緻密な計画がある。

一つ目は垂直統合モデルだ。食材の調達から加工、提供までを一貫して自社で管理する。オーストラリアに自社工場を設置し、食材を大量生産することでコストを抑えている。

二つ目は輸入コスト削減だ。イタリアからワインを大型コンテナで直接輸入し、自社でボトリングすることで中間マージンを削減。これにより「グラスワイン100円」という驚異的な価格を実現している。

三つ目はセントラルキッチン方式だ。店舗での調理を最小限にすることで人件費を抑え、効率化を図っている。調理工程を工場で完結させることで、店舗では温めるだけで提供できる仕組みを構築している。

サイゼリヤが成功を収めているのは、低価格をどう維持するかを数字で設計し、それを計画として実行しているからだ。偶然の成功ではなく、緻密に計画された戦略である。最低賃金1500円時代を迎えても、同社のモデルは強力だ。食材のコストを抑え、効率化によって人件費の増加をカバーする仕組みが確立されているからだ。

大企業だからできると思う人もいるかもしれない。しかし、中小企業でも計画を用いてうまく対応している企業もある。

目次
最低賃金1500円で企業の損益はどうなるかサイゼリヤ驚異の安さの裏にも緻密な計画が取引先の納得を得た中小企業の値上げ計画戦略・計画を持つ者だけが生き残る時代働き手と消費者にとっても他人事ではない生き残るのは「計画を持つ者」だけ

取引先の納得を得た中小企業の値上げ計画

封筒製造業を営む澤村商店は、コスト増をどう価格に反映させるかを計画として明確にした(参考:原料高騰を加工賃と稼働率向上へ反映:株式会社 澤村商店(封筒製造販売) J-net21)。