では、どうすればいいのでしょうか?
対応策はいくつかあります。今回は3つご紹介しましょう。
① 経営戦略と一体化した人材育成戦略を策定する
人材育成は、人事部門だけに任せるにはあまりにも重要な経営課題です。人材育成は、経営の最優先課題として、人事部門の一施策ではなく、経営陣主導で計画的に策定し、進めることです。
② OJTとOFF-JTを組み合わせて実施する
日本企業の8割はOJTを行っていますが、管理職の指導力・育成力不足と業務多忙により、十分に行われていません。
そこでOFF-JT(業務を離れて座学などで学ぶ場)も行って、学んだ事をOJTで実践しつつ、仕事で得た気づきをOFF-JTの学びで深めます。
つまり外部のプロの力も借りながら、社員主導でOJTとOFF-JTを組み合わせて、実施できる環境を作ります。
③ 学びの習慣化が図れる環境を作る
私がIBM社員時代、人材育成部長として、単発で素晴らしい研修をやっても定着しないことに悩んでいました。
これを解決するヒントが、心理学者エビングハウスが提唱した「忘却曲線」でした。
人は学習しても全て覚えられません。必ず忘れます。
エビングハウスによると、1日後には学んだ内容の2/3は忘れます。この時に復習すれば、全て思い出せます。
でも1日経つと、1/2を忘れます。この時に復習すれば、また全て思い出せます。
さらに1日経つと、忘れているのは約4割に減ります。
こうして反復復習を繰り返せば、人間の脳は記憶を定着できるのです。つまり、学びを思い出す環境を作ることで、学びは定着します。
そこで私が人材育成部長だった時は、必ず業務直結型で研修を行い、学んだことは、受講生が必ず実務で実践できるような工夫をすることで、学びの定着を図りました。
独立後はこれを進化させ、実務に即したワークショップ研修を6〜12ヶ月間継続して企業様に提供することで、習慣化を通した学びの定着による行動変容を促しています。