考えてみれば当たり前のことです。 なんで、できなかったのでしょうか?
実はこの35年間、人材育成はコスト削減対象でした。
1990年のバブル崩壊で、多くの会社で「企業の存続」が最重要課題になり、新規事業開発や人材育成の予算は真っ先に削られました。
しかし人材育成は必要です。そこで「OJTでやろう」となり、人材育成予算は削られ続け、新入社員研修など必要最小限のものになりました。
これが様々な弊害を生み出しています。たとえば…
10年くらい前から新規事業に挑戦する企業も増えましたが、なかなかうまくいっていません。 社員のやる気(エンゲージメントスコア)も下がり続ける一方。多くの企業が有効な手を打ててません。
これらの現象は、人材育成のコスト削減と表裏一体なのです。
企業のお話しを伺うと、顧客視点が完全に欠如してたり、新規事業で押さえるべきポイントを外した新規事業戦略は、実によく目にします。これではなかなか成功できません。私は、新規事業失敗の多くはマーケティング知識不足が原因だと感じています。
また、社員のやる気低下は、経営幹部やマネジャーに、本来必要なマネジメント知識が不足している要因が多いように感じています。
たとえば「心理的安全性」の正しい概念を理解してないマネジャーや経営幹部に驚かされることが、よくあります。
「全体会議で部下達に『イノベーションをどんどん進めろ』と一喝してやりました!」と自慢げに話す経営幹部にお目にかかったことがあります。この方は、ご自身の行動が、組織の心理的安全性を著しく下げてしまい、イノベーションの創発を阻害していることに全く気付いてません。
これも、OJTという戦略なき場当たり的人材育成の結果です。人材育成を通じた知識武装の投資を怠った結果、経営幹部もマネジャーも、自分の知識不足が問題の原因を生んでいることを、自覚してないのです。
だからビジネスの諸問題の原因もわからず、有効な手も打てない、という悪循環に陥っているのです。