むしろいまの問題は、世界は「徹頭徹尾力の競争」なんで、誰が無償で助けるかバカ、ガッツリ見返りを取り立てるのがREALな国際政治のDEALだ! と唱える支援国の出現ですよね。そう、トランプやヴァンスって「ワルい斎藤隆夫」なんです。

そこまで来ちゃってから「ボコボコにすると言っただけで、 ”圧勝する” とは言ってません!」と叫ぶ人もいますが、敗戦後の軍上層部も「支那を懲罰すると言っただけで、 ”勝つ” とは…」と弁明したのかもしれません。進歩ないですね(苦笑)。

その後に起きることも、歴史の「専門家」は知っている。初めこそちょっとは反省するけど、ほとぼりが冷めたあたりで「しかし私はあのとき、聖戦という理想に自分を賭けた。その生き方しかなかった」みたいに言い出す人が出てくるのである(橋川文三『日本浪曼派批判序説』)。

要は「政治の挫折を文学でケアする」のだが、にしても国際政治学の失敗をポエムで処理する学者はレアで、有史以来初めてだろう。もはや応援団にもならない、ウクライナ浪漫派の誕生である。