同ライブ後、スタッフブログでは「今年開催された3回のコンサートで一番ストレスが大きかった」と記され、芝生のダメージが深刻だったことが伺えた。アリーナ席の観客に対しては、水以外の飲み物の持ち込みを禁じている(清涼飲料水やお酒などがこぼれた時に芝を腐らせる可能性があるため)のだが、隠して持ち込まれれば手の打ちようがないのが現実だ。

また、ライブの準備や撤収作業も芝生に影響を与える。ステージの設置や撤去には重機が使用されることもあり、これが芝生をさらに痛めつける。さらに、観客の動線や人数、密集度によっては、特定のエリア(特にゴール前やペナルティエリア付近)が局所的に大きなダメージを受ける。

サッカーの試合では、これらのエリアが選手の動きやボールの挙動に直接影響するため、芝生の状態が試合の質や選手のケガに直結する。2022年7月30日の横浜F・マリノス対鹿島アントラーズ戦では、ピッチの荒れが目立ち、SNS上で「芝が酷すぎる」「ライブのせい」との声が多数上がった。


横浜F・マリノス サポーター 写真:Getty Images

音楽ライブファンの主張

一方、音楽ライブファンは、芝生の状態について自分たちだけのせいではないと主張している。日産スタジアムが多目的アリーナとして使用されている以上、サッカーや音楽ライブだけでなく、ラグビー、陸上競技なども開催される運命にあるのだ。

音楽ライブ開催が芝生の状態を悪化させているという“悪玉論”に対し、音楽業界は、ライブ自体が原因というよりも、悪天候の時期に開催されたことが芝生を悪化させたと主張。音楽ファンもまた、批判の矢面に立たされたことで、不当に差別されていると感じている。

彼らは、スタジアム運営側がスケジュール調整や芝生の整備に責任を持つべきであり、ファン同士を対立させるような言説に流されるべきではないとしている。SNS上では、音楽ファンからの不満の声が相次ぎ、「天候が原因。アーティストを責めるのはやめてほしい」といった声が上がっている。


SNS上での感情的な対立