私はマグニフィセント7はもうマリグナント(悪性腫瘍)7に変わってしまったと見ているのですが、米株市場でもマグニフィセント7からさらに取捨選択を進める動きも出ているようです。しかし、その動きは健全な方向への変化でしょうか?
マリグナント7からマーダラス(殺人)3へ
次の2段組グラフの上段を見ると、マグニフィセント7の中で買い超し側に立つヘッジファンドオーナーの人数が売り超し側より多かったのは、アルファベットとアマゾンの2社だけだと分かります。
そして下段には、暗殺優先順位策定アプリ開発業者、パランティアの株価が、ハイテク超大手も軍需産業大手もぶっちぎりで突出していたことが描かれています。このふたつのグラフの関連にお気づきでしょうか。
パランティアはアルファベット、アマゾンと業務提携を結んでいて、暗殺用のドローンやポケベル爆弾を送り届ける建物の位置確認にはグーグル・ストリートビューを、そして陸上経路の決定にはアマゾンのラストワンマイル情報を活用しています。
トランプとイーロン・マスクが喧嘩別れした最大の原因も、トランプはイスラエルによるパレスチナ人ジェノサイドにはパランティアの安上がりでローテクな武器が有効で、宇宙開発の片手間につくる最新技術兵器は不要と決断したことでしょう。
こうして米株の世界ではマリグナント7からマーダラス3への絞りこみが進んでいるのですが、それはとうてい人類全体にとって幸せな世界への絞りこみとは言えません。
しかし、明るい展望もあります。ひとつ目は、アメリカ世論の圧倒的な反対にもかかわらず、トランプはあくまでもアメリカ以外のほぼすべての国に高率関税をかけるつもりだという事実です。
アメリカの国運が隆盛期を迎えていた1920年代末でさえ、当時のハーバート・フーバー大統領がスムート・ホーリー関税法に署名したことによって、ふつうの景気後退で済んでいたかもしれない1929年大恐慌後の景気変動は30年代大不況へと発展してしまいました。