しかし、後任探しは困難を極めるだろう。夏の移籍市場中での監督交代は、補強戦略にも影響を与えるため、メリットよりもデメリットが大きい側面もある。また、「経験の浅い樹森監督で闘うと決めた時点で覚悟が必要」と、監督を支えるべきとの声も存在する。このような支持層の存在によって、クラブが即座に解任に踏み切るのを抑える可能性がある。
2025年6月のスポーツ紙のインタビューで樹森監督は「疑心暗鬼」「眠りが浅い」と苦悩を明かしつつも、「新潟のスタイルを見つめ直す」と前向きな姿勢を示した。辞任の意思がなく、クラブも監督の続投を後押ししている証拠だろう。現時点で即解任に至る可能性は低いと考えられるが、夏場の戦績や補強の成否が状況を大きく左右すると思われる。
監督解任は、停滞したチームに変化をもたらす最も手っ取り早い手段であり、「劇薬」にも例えられる。監督交代直後にチームの成績が一時的に向上する「ニューマンスバウンス(新監督効果)」は、サッカー界で広く知られた現象だ。
しかし、その効果は必ずしも長続きしない。選手のクオリティーやフロントのビジョン欠如など根本的な問題が解決されない限り、監督を代えてもいずれ同じ壁にぶつかることになる。むしろ、頻繁な監督交代は、クラブのサッカースタイルや哲学の構築を妨げ、長期的な低迷を招く「負のスパイラル」に陥る危険性さえある。
監督のクビは時として非情に飛ばされる。そしてサポーターは、期待と不安、そして少しの残酷な好奇心を持って見守ることしかできない。果たして次に監督の座を追われるのは、どのクラブの、どの指揮官なのだろうか。