そこでここでは、燃料費を40%削減できると仮定し、電源調達費用5兆1,786億円の40%=2兆714億円を削減できるとします。

これを総原価から差し引くと:

6兆3,154億円-2兆714億円=4兆2,440億円

この4兆2,440億円を「原発中心で電力供給した場合の試算的な総原価」として用い、電気料金の試算をしてみます。

表1 東電の原発比率を極限まで高めたときの料金予想 (注)標準家庭料金は燃料費調整、再エネ賦課金、消費税を含んでいないので各社の正式発表とは異なります。

表1は、東京電力の電源構成における原発比率(=原子力/〔火力+原子力〕)を40%まで高めた場合を想定し、総原価を4兆2,440億円に抑えたときの電気料金を示しています。この試算によれば、標準家庭の月額電気料金は6,456円となり、関西電力の水準よりもやや安価です。

この価格で「原発ふるさと割」あるいは「新潟限定・原発故郷料金」と銘打って販売するのはいかがでしょうか。そうすれば、「原発があることで、これだけ電気が安くなるのか」という実感を、新潟県民をはじめとする消費者に広く与えることができるはずです。

もっとも、現時点では福島第一・第二原子力発電所の廃止が決定しており、柏崎刈羽原発の全機および日本原電の東海第二原発を再稼働させたとしても、東京電力管内における原発比率を40%にまで引き上げるのは困難です。したがって、現実にはここまで電気料金を引き下げるのは難しいと考えられます。

とはいえ、将来的にたとえば東通原子力発電所の運転開始や、火力燃料費の国際的な下落といった要因が加われば、こうした水準に近づく可能性もあります。

東電にとっては苦渋の選択、しかし一考の価値あり

仮に新潟県限定で、表1に示した料金水準で電力を販売した場合、どうなるでしょうか。この価格が十分に安価で魅力的である以上、注文が殺到する可能性は高いと考えられます。