戦争の防止や終結において、戦略の論理を無視することは、それに従った政策をとれば得られたであろう結果をもたらさないでしょう。ウクライナ戦争の関係各国が持つバーゲニング力から目を背けても、その効力はなくなりません。われわれはウクライナ危機の管理に失敗した事実を直視することにより、その間違いを学習すべきです。

ウクライナ戦争の終結交渉が進められる現在においても、米欧とロシア間のバーゲニング力の非対称性は、ほとんど変わっていません。もちろんウクライナ自身は自国の独立と主権を維持することに強い利益と決意を持っていますが、残念なことに、肝心の戦力ではロシアに大きく劣ってしまいます。

このような事実は「見たくないもの」なのでしょうが、「これを見る」という基本的な作業こそが、失敗の繰り返しを避けるためには必要でしょう。