ーー研究をする側は、逆にそういう苦労もあるんですね(笑)。

寺崎:さきほど環境によっても静電気の溜まり方が違うという話がありましたが、梅雨と冬だと梅雨の方が溜まりづらいんですね。なので私は静電気対策としては湿度を上げておくのがいいんじゃないかと思います。

ーー加湿器などを置いておけばいいということでしょうか。

菊永:そうですね。結構生産現場なんかでも湿度を上げて対策することはあります。それでも取り切れないこともあります。

ーーさきほど金属を掴むってお話も出ましたが、静電気を逃がしたいなと思ったときには、どれくらいのサイズの金属に触れておけばいいのでしょうか。ネジなんかでも逃がせたりするのですか?

菊永:それは容量の話になってきますね。ちっちゃいネジなんかだと全然逃げないです。机のフレームだけでも厳しいですね。基本はアースされているものに掴まるといいかなと思います。

ーーそうなんですね。

菊永:ただ実はアースをすると静電気によって壊れる恐れもあります。体に静電気が溜まった状態でアースしたものに触れると、電気が一瞬でアースした側に流れるのでそれでバチッとなるんです。これがアースしてない状態だと電気が溜まっていないので電位差が生じないので、バチッとならないんですね。なんでもアースすればいいという考え方は違います、ということを知っておいていただきたいです。

ーーそれは知らなかったです。

菊永:それと静電気を扱う現場でよく聞く話なんですけど、絶縁体にアースをされていることがあるんですよ。でも絶縁体って基本的には電気が流れないので、アースした部分しか電荷が逃げないですよね。絶縁体はどこにでも電荷が溜まるので、静電気が溜まった状態が解消されないんです。

この概念があまり伝わっていないというか、こういう対策では電荷を逃がせていないよという話を現場でよくします。日常生活で静電気を逃がす話に戻ると、金属に触って椅子から立ち上がるっていうのは電荷を逃してるんですけど、絶縁体に触って立ち上がっても電荷は移動しないんですよね。