静電気は身の回りに溢れており、特に冬になるとドアノブを触ってバチッ、と痛みを感じることで苦手意識を持っている方も多いでしょう。
静電気が嫌な理由は、どこにどのくらい電荷が溜まっていて、いつ飛んでくるのか、目に見えないので予測が難しいところです。
しかしそんな「静電気」を見えるようにしてしまった研究者たちがいます。
ナゾロジーと産総研マガジンのコラボ企画として、今回お話を聞く研究者はセンシング技術研究部門の菊永 和也(きくなが かずや)さんと寺崎 正(てらさき なお)さんです。
菊永さんと寺崎さんは、目に見えない静電気を可視化する世界初の静電気発光センシング技術を開発しました。
今回はインタビューを通して二人の研究者の思考や日常を垣間見つつ、先進的な技術はいかにして実現されたのかを見ていきます。
この記事は、「産総研マガジン」でも同時公開されています。産総研マガジンの記事はコチラ!
目次
- 産総研、そして静電気と出会うまで
- 静電気はどうやって逃がす?意外と効果的なのが観葉植物!?
- 2人の知を合わせて見つけ出した「発光材料」
- 研究の今後と未来の研究者に向けて
産総研、そして静電気と出会うまで
――本日はよろしくお願いします。今回は静電気を見えるようにしたという興味深い研究についてお話を伺っていきます。
この研究は電気工学と化学という異なる研究分野が合わさって実現したということですが、お二人はどのような学生時代を過ごして、どうやってこの研究に至ったんでしょうか? まずはお二方の簡単な経歴を伺いたいです。
菊永:元々学部では電気電子工学が専門だったんですけれども、大学院では電気というよりは超伝導材料などの物性を調べて、新しい材料を開発するということをやっていました。
ーー大学院では別の研究をされていたんですね。そこからどのようにして産総研に入られたのでしょうか。
菊永:当時の大学の先生が、産総研の研究者とつながりがあり、「ちょっとテーマは大きく変わってしまうんだけど、産総研の採用試験を受けてみないか?」と声をかけていただいたことがきっかけで、その後入所させていただきました。静電気を対象に研究を始めたのはそこからです。