ですから、今後米ドル指数がマイナス領域に入ると、そこから抜け出すためにはかなり割高感の高かった米株全体が割安になるまで待たなければならないのです。連邦政府の利払い費負担対応力に疑問が生じて、債券価格が本格的に下げたりすると、その展望はますます暗くなります。
企業CEOは重要閣僚にも向かない大統領や重要閣僚の前歴を紹介した表で最終ページの下からふたりは、企業CEOから国防長官になったロバート・マクナマラと金業界から財務長官に転じたハンク・ポールソンを挙げておきました。
第二次世界大戦末期に東京などの大都市空襲にかかわったマクナマラは、無差別爆撃の倫理性について上官であるカーチス・ルメイに抗議するほど正義感の強い青年将校でした。
しかし、戦後フォード社に入社して、大胆な人員削減や配置転換で業績を急回復させて、フォード家以外では最初のフォード社長となったマクナマラは、ケネディ大統領に請われて国防長官に就任したときにはまったく別人になっていました。
1962年の国防相年次報告で、マクナマラは「軍事面の強化では狙撃・待伏せ・強襲の戦闘力強化。政治面では恐怖感・強奪・暗殺」と述べていました。そして、この姿勢が次の写真に描かれているとおりの無防備な子どもたちまで標的にするナパーム弾爆撃につながったのです。
大企業の冗員を削減するには、従業員ひとりひとりの能力や仕事ぶりを査定していたのでは時間がかかり過ぎるから、効率の悪い部署を丸ごと解雇して、仕事のできる従業員数名を送りこんだほうが早いという教訓を対ゲリラ戦争に「応用」した結果だったのでしょう。
たしかに「効率」はいいのかもしれませんが、抵抗するすべを持たない子どもや女性まで無差別に殺害する作戦は世界中からごうごうたる非難を浴びていたのです。
今、アメリカに批判的な論調が増えていることについて、2023年10月7日以来アメリカがイスラエルべったりだから突然嫌われ始めたと考えるのは、自分たちに都合の悪い過去の歴史をあまりにもかんたんに忘れ去ってしまったとしか表現できません。