さらに問題なのが、外国の元首を迎えても、まったく同じような、あるいはもっとひどい非礼、無作法をくり返していることです。

こういう場面を見ると、多少なりとも世の中にはアメリカやヨーロッパ諸国以外の国もあることをわきまえている知識人は、恥ずかしさに見も細る思いでいると思います。

ですが、自分たちが黒人やヒスパニックより高い給料を取り、大きな資産を持っている理由は「白人に生まれついたこと」以外にないと悟っている中年以上のプアホワイトは、まさにこうした非礼や無作法を見て「そうだ、そうだ」と留飲を下げているのかもしれません。

あるインタビューで「あなたは大統領として憲法を守る意志を持っていますか」と聞かれて「わからない」と答えたときには、さすがに「おやおや、何を言い出すやら」と耳を疑ったのですが、これも確信犯としての言動でした。

ようするにトランプにとって憲法とは、守るための時間があれば守るが、時間がなければ省略して差し支えないたんなる形式でしかないのです。

トランプが統制経済を指揮する独裁者たらんとしているけれども、今までのところ惨敗続きであることは、次の文章とグラフの組み合わせで読み取れます。

まさに企業CEOが大統領をしてはいけない理由をもろに開陳したインタビューになっています。そして、トランプが対米輸出国全体に対してつけた関税のお値段は、どうやらひとりも買い手がつかないほどのすっ高値だったようです。

指のあいだから滑り落ちる覇権国家の威信

そうこうするうちにも、贈収賄奨励法発布以来延々と続いてきた政・官・財界の癒着構造に内臓をむしばまれたアメリカの経済指標が、次々に警戒警報を乱打する局面になってきました。

トランプは、まさに命運の尽きた大帝国の最後の悪あがきにふさわしい暴君と呼べるでしょう。こんな場面にこういう人物が登場することも「時の氏神」と呼べるのでしょうか。適材適所であることは間違いありませんが。