また今回の研究結果は、頭部移植を行う際に切り離しポイントを首よりもかなり下側にすることの有効性を示しており、一般的にイメージされる頭部移植の代替手段となる可能性が示唆されました。
この研究は、倫理的な観点からかなり問題を感じる内容であることは確かです。
この研究の手法や意義については、まだ議論されるべき段階のものでしょう。
しかし頭部移植技術が確立されれば、重度の身体障害を持つ人々に新たな希望をもたらす可能性があり、医学だけでなく社会にとっても重要な意味を持つ可能性があります。
実験を主導したレン氏らはこれまで1000匹を超えるマウスやラットでの移植実験を行っており、技術的な精度を高めているといいます。
頭部移植は倫理的にも技術的にも多くの問題を抱えていますが、困難な移植に挑戦していることは確かです。これが完璧な技術になった場合、科学技術の大きな飛躍を象徴する出来事になるでしょう。
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元論文
Allogeneic Head and Body Reconstruction: Mouse Model
https://doi.org/10.1111/cns.12341
Head Transplantation in Mouse Model.
https://doi.org/10.1111/cns.12422
A cross-circulated bicephalic model of head transplantation
https://doi.org/10.1111/cns.12700
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部