以前の2つの研究では、頭部を切り離した直後にできるだけ早く、体に接続しなければなりませんでした。
しかし新たな研究では頭部を完全に切り離す前に、血液供給用の第三のマウスの血管と接続し、さらに頭部へ向かう血液を冷やすステップが追加されました。
冷たい血液を脳やその他の器官を冷却することで、細胞へのダメージを減らすことが可能になります。
切断した指や腕を病院に搬送する前に冷やしておくと、結合手術が上手くいく確率があがるのと同じ仕組みと言えるでしょう。
頭部の切り離しを血液の冷却というステップを挟んで段階的に行うことで、より組織の正常さを保ったままの移植が可能になります。
実際、この状態で頭部は最大 6 時間維持されましたが、脳波や角膜反射に明らかな異常はありませんでした。
さらに刺激を与えてみると頭部はかなりの動きを示しました。
頭部の冷却が済むと、体からの完全な切り離しが行われ、体を提供するマウスとの結合が行われました。

結果、14 対が平均 36 時間以上生存しました。
頭部を提供したラットには末梢虚血や他の血管異常、組織壊死の兆候は見られませんでした。
また頭部を提供するラットの脳波と血中酸素飽和度、体を提供するラットの心電図は正常と言える範囲を維持していることが確認できました。
また研究者たちが手術後の反応を確認したところ、ラットたちは角膜反射と痛みを感じている兆候をみせ、神経機能が維持されていることも示されました。
このことから研究者たちは、手術プロセス全体で頸動脈、頸静脈、椎骨動脈が温存されたことで、脳や心臓などの機能がより正常に保たれていると結論しています。