【VAT導入後の輸出取引】
A社が原材料を仕入れる:
原材料の価格(税抜):100ユーロ 支払ったVAT(仕入税額):100ユーロ × 20% = 20ユーロ A社が原材料供給業者に支払った合計額:100ユーロ + 20ユーロ = 120ユーロ A社が製品Xを製造し、付加価値を付ける:
A社が付加した価値(労務費、利益など):50ユーロ A社が製品Xを海外に輸出する:
製品Xの輸出販売価格(税抜):(原材料費100ユーロ + 付加価値50ユーロ)= 150ユーロ 輸出にかかるVAT(輸出はゼロ税率):150ユーロ × 0% = 0ユーロ 海外の買い手がA社に支払う金額:150ユーロ + 0ユーロ = 150ユーロ A社と税務当局のやり取り(VATの申告・納付/還付):
A社が受け取ったVAT(仮受税額):0ユーロ(輸出はゼロ税率のため) A社が支払ったVAT(仮払税額/仕入税額):20ユーロ(原材料仕入れ時) A社が税務当局に納めるVAT額:仮受税額 – 仮払税額 = 0ユーロ – 20ユーロ = -20ユーロ この計算結果がマイナスになる場合、税務当局からA社へ20ユーロの還付が行われます。
結果:
A社は原材料購入時に支払った20ユーロのVATを全て還付してもらえました。したがって、製品Xを海外に販売する際の実質的な税負担はゼロとなります。海外の買い手はフランス国内のVATを含まない価格(150ユーロ)で購入できます。
【VAT導入前の仮説的な状況(比較用)】
もしVATのような還付の仕組みがない、多段階で税金が累積するような古い税制だった場合を仮定します。原材料購入時や製品製造の各段階で税金(例えば売上高に数%課税されるような税)がかかり、それが製品価格に上乗せされるにも関わらず、輸出品からその税額分を正確に取り除くことが困難だったとします。
原材料購入時や製造過程で、製品価格150ユーロの中に、例えば20ユーロ相当の税金が埋め込まれてしまっている。輸出品に対してはこの税金を取り除く仕組みがない、あるいは不十分である。