世界の“クレジット熱”はここまで来た。企業別カーボンクレジット購入ランキング
それでは、世界の企業はそれだけカーボンクレジットに投資しているのでしょうか? 2024年の購入ランキングを見てみましょう。
出典:https://trellis.net/article/carbon-markets-leaderboard-shell-microsoft/
昭和シェル石油、Eni、PRIMAX COLOMBIAなど、エネルギー事業を行う企業が上位に名を連ねています。昭和シェル石油やヤマト運輸などは事業の特性上、温室効果ガスの排出量が非常に多いため、クレジット購入での補完を行っているのです。
Microsoftは、カーボンクレジットの購入により、環境に配慮したブランドイメージの強化を図り、消費者や投資家からの支持を得ています。
また、データセンターを中心に多大な電力消費があるものの、再生可能エネルギーなどは電力の安定性に懸念があるため、カーボンクレジット購入でオフセットしているという現状です。
カーボンクレジットの課題と、これからの可能性
多くの国や企業がカーボンクレジットの創出や購入に前のめりな一方、クレジット市場には課題も残されています。
●クレジット市場における3つの課題
1: 購入者がどのクレジットを購入すべきか判断できない 現在、クレジット市場に出回っているクレジットは種類も多く、それぞれ基準が異なっている場合もあります。明確な違いや使い分けの判断が難しい状態なのです。また、将来的な規制やルールがどう変化していくかも不明確なため、購入者のクレジット購入に対する判断ができないという側面もあります。
2: 新技術や自然由来のクレジットが不足している 現行のクレジットは、排出削減量のデータベースの削減実績をもとに発行されているため、新技術や自然由来のクレジットの創出や供給が追いついていません。また、家庭や個人が省エネや再エネを行えるサービスが増えているものの、それらがクレジット創出につながっていないことも課題になっています。
3: 価格設定が不透明 現状のカーボンクレジット取引は、2社間で直接交渉して売買する相対取引が多く行われています。カーボンクレジットの市場が小さく、取引量や価格を決めるマーケットプレイスとして十分に機能していない状態なのです。価格や取引量が不透明なため、将来の見通しが立てづらいことも、カーボンクレジットが一般化することの障壁になっています。