カーボンクレジットクレジットの種類を知る!

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コンプライアンスクレジット

 コンプライアンスクレジットとは、国連や国が運営し、認証しているクレジットのこと。ここで認証されているクレジットを購入することで、公的に「温室効果ガス削減に寄与している」と認められるため、CO2排出が法的に義務付けられた企業や団体が法令遵守のために利用することが多いクレジットです。

 カーボンクレジットを創出する国と購入する国の間でクレジットを売買し、国の削減目標の達成を目指す「JCM(二国間クレジット制度)」や、日本が認証している「J-クレジット」などがこれにあたります。

ボランタリークレジット

 ボランタリークレジットとは、民間団体が認証を行うクレジットのこと。ESG経営・ブランド価値向上などを目指し、自主的に温室効果ガスの削減やオフセットに取り組む企業が利用する傾向にあります。VCS(Verified Carbon Standard)やGS(Gold Standard)といった市場が代表的です。

 法的な拘束力がないため、ボランタリークレジットを購入しても、公的に「温室効果ガスを削減している・オフセットしている」と認められない場合がありますが、クレジットの創出がしやすいというメリットもあります。

 世界的に見て、発行量が多いのはこのボランタリークレジットです。

削減?吸収?カーボンクレジットの2大タイプを徹底解剖

 コンプライアンスクレジット、ボランタリークレジットともに多くのカーボンクレジットが創出されていますが、大きく「リダクション系」「リムーバル系」の2つのタイプがあります。

 以下で、それぞれのタイプについて解説します。

リダクション系クレジット

 リダクション系クレジットとは、本来排出されるはずだった温室効果ガスを削減、回避することで創出されたカーボンクレジットです。

 リダクション系クレジットの例として、以下のようなものがあります。

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(画像=図2 中干しすることでメタンガス削減)

 水田に水が張られ、酸素が行き届かない状態だと嫌気性の微生物が活発になり、この微生物が有機物を分解することでメタンガスを発生させます。そこで、水田から1週間ほど水を抜いて中干しし、メタンガスの排出を抑制することで創出されるのが水田クレジットです。

 理論的にはメタンガス排出が約45%削減されます。

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 酪農や畜産の分野では、牛や羊のゲップや堆肥からメタンガスが排出されます。ゲップが出にくい飼料を開発・改良して与えたり、堆肥の発酵方法を変更したりしてメタンガスを抑制することで創出されるのが酪農クレジットです。