3バックは選手に高い戦術理解度を求めるシステムだ。特に、センターバックのビルドアップ能力や、ウィングバックのポジショニングが鍵となる。よって外国籍選手や経験豊富な選手が3バックの中央を任されるケースも多い。このポジションばかりは若手の育成や戦術浸透には経験が求められ、時間がかかる。

Jリーグの3バックブームは、戦術の進化を象徴している。このブームが長期的に続くかどうかは、まずは若手の育成が重要だ。3バックを機能させるためには、攻守両面で高い能力を持つ選手が必要であり、下部組織での育成が鍵となる。

一般論として、プロのDFであっても元々はFWだったという例は多い。元FWの経験は、“読み”の部分で役に立つ側面もあろうが、Jリーグのプレーレベルが上がってくるに連れ、コンバートされたDFよりも、初めからDFとして育成されてきた選手に軍配が上がるのは致し方無いところだ。

また、戦術哲学として、3バックを一時的な戦術として採用する監督もいれば、チームのスタイルとして定着させる監督もいる。さらに、Jリーグのレベル向上に伴い、戦術のカウンター戦術も進化する。3バックが主流になれば、4バックや他のフォーメーションで対抗するチームも増え、戦術のトレンドは再び変化する可能性がある。いずれにせよ、昨今の3バックブームはJリーグに新たな戦術的ダイナミズムをもたらしている。

つまりJリーグの3バックブームは、戦術の新潮流であり、国内外のトレンド、選手の特性、戦術的ギャップ作りのニーズなどが複雑に絡み合った上で生まれた結果だ。

前述の成功事例は3バックの可能性を示しているが、ウイングバックの負担や相手の対策など、いずれは課題も浮き彫りになってくるだろう。今後、3バックがJリーグの主流となるかブームで終わるかは、監督や選手の適応力にかかっており、それは日本代表の基本システムにまで影響してくるだろう。いずれにせよ、この戦術の再評価はJリーグの戦術的成長を象徴する現象であり、今後の展開が注目される。