ウイングバックの攻撃参加により、3バックはサイドを効果的に活用できる。ウイングバックがハーフスペースやサイドの高い位置を取ることで、相手の守備陣を広げ、チャンスを生み出す。また、3トップや2トップ+シャドーの配置により、ゴール前の選手層も厚くなり、得点機会が増える。
これが4バックのチームだと、攻撃に厚みをもたらすためには両サイドバックの一方が長い距離をスプリントする必要がある。

3バックの難しさ:ウイングバックの負担や相手の対策
しかし一方で、3バックの成功はウイングバックの質に大きく依存する。ウイングバックは、攻守両面で広範囲をカバーする必要があり、90分間高い運動量を維持しなければならない。選手の疲労度が顕著なため、選手層の厚さや交代戦略が重要となる。3バックシステムの要となる両ウイングバックはテクニックやスピードはもちろん、アスリート性も求められるのだ。
3バックの普及に伴い、相手チームも対策を講じるようになっている。例えば4バックのチームがウイングバックの裏を徹底的に攻めたり、ハイプレスでウイングバックを封じたりするケースだ。3バックを採用するチームは、相手の戦術に応じた柔軟な対応が求められる。
実際、4バックと3バックを使い分ける清水エスパルスは、4月29日のJ1第13節FC東京戦(味の素スタジアム/2-0)で、秋葉忠弘監督が後半途中に4バックから3バックにスイッチ。するとFC東京の【3-4-2-1】システムとマッチアップする形となり劣勢に立たされる危険性があったことから、ピッチ上のイレブンの判断で4バックに戻した。結果、2点目を挙げただけではなく相手を完封したことで、秋葉監督は「大人のチームになった」と目を細めた。
