そして時は流れ、現在日本代表を率いる森保一監督は、2018年のチーム立ち上げ当初は4バックを採り入れた時期もあったが、現在では3バックをベースに相手に応じて4バックと併用している。
これがJクラブの監督たちにも影響を与え、3バックを試すきっかけとなった。また、欧州の成功事例が映像などを通じ、Jクラブの監督の参考になった側面もあるだろう。
Jリーグでは【4-4-2】や【4-2-3-1】といった4バックを基盤とするチームが依然として多い。こうしたチームに対し、3バックは戦術的にギャップを作り出す有効な手段となる。3バックは、中央の守備を固めながら、両サイドのウィングバックが攻撃参加することで、相手SBやMFを混乱させることができる。この非対称性が3バック採用の大きな動機となっている。

Jリーグ3バック採用チームの事例
Jリーグの選手層も3バックブームを後押ししている。現代のJリーグには、守備的MFやセンターバックとしてマルチに活躍できる選手が増えている。また、ウィングバックに求められる運動量や攻撃力を兼ね備えた若手も台頭している。これらの選手の特長を最大限に生かすため、3バックを採用するケースも多い。
サンフレッチェ広島は、Jリーグにおける3バックの代名詞ともいえるクラブだ。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督(2006-2011)が礎を造り、森保監督時代(2012-2017)へと受け継がれた【3-4-2-1】を基調とし、2012年、2013年、2015年にはリーグ優勝を達成した。
2025シーズンも、ミヒャエル・スキッベ監督の下3バックを軸に攻撃的なサッカーを展開している広島。センターバックのビルドアップ能力とウィングバックの積極的な攻撃参加が特徴だ。特に、両ウィングバックの中野就斗や新井直人がサイドを駆け上がり、チャンスを演出する姿は、3バックのダイナミズムを象徴している。