また、2024シーズンにJ1で旋風を巻き起こした町田ゼルビアは、今季から新たに3バックを導入した。黒田剛監督は、【3-5-2】を基調に守備の安定と速攻を組み合わせた戦術を採用している。センターバックの強固な守備と、中盤の数的優位性を活かしたカウンターが武器だ。
特に、MF望月ヘンリー海輝とMF林幸多郎の若き2人がサイドで攻守にわたって高い運動量を発揮し、相手のサイド攻撃を封じつつ、素早い攻撃展開でゴールを狙う町田。4バックから3バックへの移行のケーススタディーを示し、ロングスローとセットプレーだけのチームではないことを証明しつつある。
J2ロアッソ熊本は、大木武監督の下で特徴的な3バック戦術を採用している。【3-4-3】を基調に攻撃的な選手を前線に並べ、積極的なプレッシングとパスワークを組み合わせたサッカーを志向している。守備時の安定感よりも、攻撃時の流動性を重視している。
この戦術は諸刃の剣で、大勝と大敗を繰り返す可能性はあるが、これこそが“大木スタイル”でもあるのだ。その証明に大木監督は、2002シーズン、ヴァンフォーレ甲府の監督就任以来、のべ6クラブで指揮を執っている。それだけのニーズがあるということだ。

3バックのメリット:攻撃に厚みをもたらす
3バックの最大のメリットは、中央の人数が分厚くなる点だ。センターバック3枚が中央をカバーすることで、相手のストライカーやインサイドハーフの侵入を防ぎやすい。また、ウイングバックが守備時に下がることで、5バックのような形を作り、サイド攻撃にも対応できる。この守備の安定性は、カウンターを狙うチームにとって特に有効だ。
また、3バックは、ビルドアップ時に多くの選択肢を提供する。センターバック3枚がボールを持ち、ウイングバックやインサイドハーフがポジションを変えることで、相手のプレッシングを回避しやすい。特に、現代サッカーでは高い位置でのプレッシングが一般的だが、3バックは数的優位を作りやすく、ビルドアップの成功率を高める。