ミヒャエル・スキッベ監督(左)黒田剛監督(右)写真:Getty Images

今2025シーズンのJリーグで、3バック(【3-4-3】もしくは【3-5-2】)を採用するチームが増加している。この「3バックブーム」は、単なる一過性のブームなのか、戦術の進化を反映した現象なのか、まだその答えは出ていない。

現在のJ1ではサンフレッチェ広島や町田ゼルビアが、J2ではロアッソ熊本など多くのクラブが3バックを基盤とした戦術を採用。また、柏レイソルも、今季から就任したリカルド・ロドリゲス監督が3バックで強固な守備と流動的な攻撃を披露し、上位戦線を賑わせている。

なぜ今、3バックが再び脚光を浴びているのか。その背景には、国内外のサッカートレンド、選手の特性、対戦相手への対策など、さまざまな要因が絡み合っている。ここでは、Jリーグの3バックブームの要因、採用チームの事例、戦術的メリットと課題、そして今後の展望について掘り下げてみたい。


フィリップ・トルシエ氏 写真:Getty Images

世界で3バック再評価の流れ

3バックシステムの再評価は、Jリーグだけの現象ではない。欧州サッカー界でも3バックが再び注目を集めている。

2010年代後半から、バルセロナやバイエルン・ミュンヘンの監督を歴任し現在マンチェスター・シティを率いるジョゼップ・グアルディオラ監督や、同じく多くのビッグクラブを率いイングランド代表監督を務めるトーマス・トゥヘル監督、セリエA優勝に導いたナポリのアントニオ・コンテ監督といった名将たちが3バックを採用したこともあった。特に、ビルドアップの柔軟性や守備の安定性を高める戦術として、3バックは現代サッカーのトレンドに適合しているという見方だ。

日本代表の歴史を紐解くと、3バックを採用した例としては、2002年のFIFAワールドカップ(W杯)日韓大会に臨んだフィリップ・トルシエ監督の代名詞的戦術「フラット3」が有名だ。