5. マヤブルー:熱帯雨林でも色褪せない、驚異の耐久性を持つ青色顔料

(画像=出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン),『TOCANA』より 引用)
マヤ文明で広く用いられた鮮やかな青色顔料「マヤブルー」は、その驚くべき耐久性で知られています。熱帯の高温多湿な環境下でも、酸やアルカリ、さらには微生物による劣化にも強く、数百年を経てもなおその美しい色彩を保ち続けるのです。
この秘密は、インディゴ(藍)の染料分子が、パリゴルスカイトという特殊な粘土鉱物の持つ微細な管状構造の中に、水素結合やファンデルワールス力といった弱い力でカプセルのように封じ込められていることにあります。この有機物と無機物が複合したハイブリッド構造が、マヤブルーに類まれな安定性を与えているのです。
現代の科学者たちは、この構造をヒントに、他の天然染料を組み合わせることで、文化財修復用の塗料やインクなど、より幅広い色調を持つ耐久性の高い顔料の開発に取り組んでいます。