3. リュクルゴスの聖杯:古代ナノテクノロジーが生んだ虹色の奇跡のガラス

(画像=出典:Wikimedia Commons(CC BY-SA 3.0),『TOCANA』より 引用)
4世紀のローマで作られたリュクルゴスの聖杯は、古代におけるナノテクノロジーの驚くべき一例と言えるでしょう。この杯は、光の当たり方によってヒスイのような緑色から、透き通るようなルビー色へと劇的に変化します。
その秘密は、ガラスの主成分であるシリカの中に、直径わずか15~25ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)という極めて微細な金と銀の粒子が分散していることにあります。これらのナノ粒子が、光の波長によって異なる散乱や透過を起こす「局在表面プラズモン共鳴」という現象により、このような美しい色彩変化が生まれるのです。
この古代のナノ技術は、現代において、通貨や有価証券の偽造防止技術、あるいは太陽光の強さに応じて色調を変化させ、建物の冷房負荷を軽減するダイナミックウィンドウ(調光ガラス)の開発などに応用されています。
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