SynAIRgy試験は、睡眠時無呼吸症候群治療薬として世界最大規模となる646人の参加者を対象に行われました。

参加者はアメリカとカナダの73か所の医療機関から集められ、男女比はほぼ半々(女性49.1%)で、人種や体格も多様な現実の患者層を反映していました。

重症度も軽症の睡眠時無呼吸症候群(全体の34.4%)、中等症(42.4%)、重症(23.2%)まで幅広く含まれており、既存のCPAPマスク治療に耐えられないか使用を拒否した成人患者が対象とされています。

試験では被験者を無作為に2グループに分け、一方はAD109錠(アトモキセチン75 mg+アロキシブチニン2.5 mg)を毎晩就寝前に服用し、もう一方は見た目が同じプラセボ(偽薬)を服用するデザインでした。

治療期間は6か月間と長期に及び、二重盲検下(患者も医師も誰が薬を飲んでいるか分からない状態)で効果が評価されました。

その結果、AD109群で主要評価項目を見事に達成しました。

治療群では無呼吸低呼吸指数(AHI)が平均55.6%低下し、プラセボ群と比べ統計的に有意な差が認められたのです。

(※ここの55.6%という数値は6カ月試験の速報値(トップライン解析値)であり、今後の試験結果の積み重ねで±数ポイント変動する可能性もあります。ただし「発作を半減させた」という臨床的結論が大幅に変わることはないと見込まれます。)

研究チームによれば、この改善効果は服用初夜から現れ、その後も6か月間持続しました。

また血中酸素の低下指標も大きく改善しました。

例えば、夜間の低酸素状態の程度を表す「低酸素負荷」は薬剤群で有意に減少し(p<0.0001)、酸素飽和度低下指数も有意に改善しています(p=0.001)。

さらに臨床的に意義の大きい指標として、約半数(51.2%)の患者で睡眠時無呼吸症候群の重症度分類が軽減し(例:重症から中等症へ改善)、5人に1人以上(22.3%)の患者ではAHIが5未満となり「完全に病状をコントロールできた」と報告されました。