では、そんな零細事業者が、消費税を減税されたら、手取りは増えるのか。
例えば、消費税は10%から5%に引き下げられたとして、売上が550万円(税込)、仕入れ等が110万円(税込)の事業者の手取りはどう変わるのか見てみましょう。
消費税が減税されたのであれば、得意先から、その分の値下げが期待されるはずです。
なにせ、これまで、いくら公取委が監視したところで、消費税の価格への上乗せが許されていなかったような零細事業者ですから、消費税が下がったとなれば、その分値下げしろと言われることは容易に予想されます。
つまり、売上は消費税の減税分だけ下がるということです。消費税が10%で550万円(税込)の売上であれば、消費税額は50万円。それが消費税が5%になれば、消費税は25万円になるので、売上高は525万円(税込)になります。
では、仕入れは、どうか。
仮に、運良く消費税分だけ、仕入先が価格を引き下げてくれたとすると、仕入れ等は105万円(税込)に下がります。
つまり、売上が25万円減っても仕入れ等が5万円減ることで、差引20万円のお金が減ります。
では、消費税の納税額は、どうか。
消費税10% 消費税5% 差引
売上高 550万円 525万円 ▲25万円
仕入等 110万円 105万円 ▲5万円
差引 440万円 420万円 ▲20万円
受取消費税 50万円 25万円 ▲25万円
支払消費税 10万円 5万円 ▲5万円
納税額 40万円 20万円 ▲20万円
手取り 400万円 400万円 0円
消費税率が10%から5%に減ることで、消費税の納税額も20万円減ります。
つまり、この事業者は、消費税が減税されても、手取りは変わらないということです。
なお、これは、受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた金額を納税する「原則課税」を採用した場合。