今稼げていない人は、全くそうは思はないかもしれませんが、「もはや、これが日本の実力」ということでしょう。

ここから、さらに売上を増やそうにも、その仕事をする人がいない状態ですが、本当に、消費税の減税により、トータルの売上が増えるほど景気が良くなれば、当然、インフレがさらに加速し、仕入価格は上がっていくはずです。

とはいえ、これだけ大半の事業者が消費税の価格への転嫁ができている中でも、それができないほど弱い立場であれば、思うように値上げはできないでしょう。

つまり、得意先への値上げはできないけど、仕入先からの値上げ要請は来る。ということです。

要するに、消費税減税によるメリットが、仮にあったとしても、すべて立場の強い得意先に吸い上げられ、インフレのデメリットだけを被ることもあるかもしれません。

得意先だって、生き残るのに必死ですから。どこも余裕なんてありゃしません。いくら大手企業だって、それぞれのライバルと熾烈な競争をしているので、それはどこも一緒なのです。

その後、税率を戻されたときが地獄

問題は、そのあとで、消費税率が元に戻された時です。その時に、消費税の増税分を上乗せして請求できるんでしたっけ?

これまでも消費税の転嫁ができていなかったような事業者が、税率が元に戻っただけだといっても、価格を元に戻してもらえる保証はないでしょう。

なにせ93.1%の事業者が消費税をすべて価格に転嫁できていると言っている中でも、価格に転嫁できないような事業者なのですから。

それこそ、短期間で消費税の税率が上げ下げされた結果、価格決定権がない零細事業者であれば、消費税率が下がった時には、値下げ要請がされ、消費税率が戻った時には、そのままということも十分ありえるということです。

これまで消費税率アップ時に価格の上乗せができなかったものが、今回ならできる理由はありませんから。

つまり、消費税の転嫁ができないほど脆弱な零細事業者にとって、一番のキツイのは、消費税率をガチャガチャと上げ下げされることではないのかと。