外国籍選手は、ピッチ外でもJリーグを変えるケースもある。特に2018シーズンのイニエスタの神戸加入は、観客動員を3割も増加させ、クラブのブランド価値を高めた。
外国籍選手の活躍は、在日外国人をスタジアムに呼び込むきっかけを作り、スタジアムの多言語対応や国際的なファンサークルを生み、Jリーグのグローバル化を加速させ、サポーター文化の変化に資する可能性を秘めている。
ブラジル人選手が多い川崎フロンターレのサポーターはブラジル国旗を振り、ノルウェー人DFマリウス・ホイブラーテンやスウェーデン人MFサミュエル・グスタフソンが所属する浦和のサポーターは、「どこに売っていたのか?」と思わせながらも両国の国旗を入手し、ゴール裏でたなびかせている。
こうした応援の様式は、Jリーグの「地域密着」を深化させるだけではなく、スタジアムを文化の交差点に変える効果がある。

日本人選手とのバランスという課題も
外国籍選手の増加は、Jリーグに課題ももたらす。外国人枠の拡大によって「日本人選手の出場機会が減る」との懸念が浮上している。実際、J1のスタメンで外国籍選手が5人を占めるケースも増え、若手日本人選手の成長機会が課題に上っている。
Jリーグは、ルヴァン杯、J2、J3における「U-21選手の出場ルール(21歳以下の日本人選手を最低1人先発出場させることがルヴァン杯に関しては義務、J2とJ3に関しては奨励金)」や「ホームグロウン制度(12歳から21歳までの期間、特定のJクラブに登録された育成期間の合計日数が990日以上である選手(※J1は4人、J2・J3は2人)の登録を義務付ける制度)」を導入し育成の強化を促しているが、ホームグロウン制度に関しては遵守されているとは言い難く、事実上形骸化している。
また、外国籍選手の国内移籍がトレンド化。2024シーズン後には、FWレオ・セアラがC大阪から鹿島へ移籍し、今2025シーズンの得点ランキングトップを走っている。こうした動きは、クラブ間の競争を活性化する一方、資金力の差による戦力格差を助長する可能性もあるだろう。しかし、Jで実績があり、ある程度計算出来る外国籍選手の獲得は、クラブの強化担当にとっては“ハズレ”を引くリスクを回避できるメリットがあるのも事実だ。
