調査ではまず、人類の種の誕生時期と絶滅時期が特定され、種の多様性の増加と絶滅のパターンが調べられました。
化石記録は常に正確とは限らないため、データモデリングを使用して最も妥当な時期を予測しました。
すると人類種全体ではおおむね他の動物と同じく「共通先祖の出現➔多様化➔多様化の限界➔種間競争の激化➔絶滅する種の増加」というパターンが存在することが判明します。

しかし、私たちホモサピエンスが含まれるホモ属では、このパターンが異なります。
ホモ属では多様化がさらなる多様化を促進する現象が見られました。
研究者たちは、ホモ属の進化パターンは、種間競争が新たな種を出現させる原動力となっており、これが他の脊椎動物とは逆の現象であると述べています。
さらに、このような異常なパターンは島に生息する昆虫や植物にも見られることが分かりました。
これは、限られた環境での異常な進化が起こることが以前から知られているためです。
研究者たちは、ホモ属で「多様性が多様性を加速させる」という現象が起きた原因として、既存の種が残っている中で人類が新天地へと進出し続けたことを挙げています。
また、このような異常なパターンを単に環境変化で説明するのは難しく、テクノロジーの導入が重要な役割を果たしていると指摘しています。
テクノロジーの使用は体を進化させることなく環境に適応できるため、新種の出現を抑制するかのように見えますが、同時に新しい環境を創出し、新種が出現しやすくなる側面もあります。
特に、火の使用や狩猟採集の技術は、環境を変えずに環境へのアクセス方法を変化させることで、実質的に環境変化を引き起こしました。