ただどちらにしても、両種の間では現生人類の人種間結婚のような平穏な男女の行き来が失敗したことを示しています。
今回の研究結果もホモサピエンスによる他種への大量虐殺を証明するものではありません。
しかし研究では、ホモ属の間でみられた「多様性が多様性を加速する」という傾向が、現生人類(ホモサピエンス)の登場によって絶たれたと述べています。
通常、多様化しているグループ(属)は簡単なことでは絶滅していきません。
そのため通常、多様化はグループ全体の絶滅耐性のシグナルとなります。
しかし技術を背景に多様化していったホモ属では、圧倒的なテクノロジーを持つ種が登場することで全く異なる経路を辿ることになったと考えられます。
圧倒的なテクノロジーを持つホモサピエンスの前では、他の種は競争相手にすらならず駆逐されてしまったのでしょう。
論文においても「ホモサピエンスの極端な汎用化が、末期における種の分化を妨げた可能性がある」と述べられています。
そして結果的にホモ属では「多様化しているほど絶滅が起きやすい」という外れ値になってしまいました。
このような絶滅パターンは他のどんな生物種にもみられない、ホモ属のみにみられる唯一無二のものです。
この異常なパターンを駆動する仕組みが、ホモサピエンスのどんな性質に根差しているのかを解明することができれば、私たちは私たち自身をよりよく理解できるでしょう。
そして、その気付きは火や石器の発見と同じくらい、重大なものとなるはずです。
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参考文献
Interspecies competition led to even more forms of ancient human – defying evolutionary trends in vertebrates
https://www.cam.ac.uk/research/news/interspecies-competition-led-to-even-more-forms-of-ancient-human-defying-evolutionary-trends-in