これにマケレレは怒り、2003/04シーズンを前にチェルシーに移籍すると、マドリードの失点数は激増。マケレレは、30歳の移籍にも関わらず多額の移籍金を支払ったオーナーのロマン・アブラモヴィッチ氏と、すぐさまレギュラーとして起用したクラウディオ・ラニエリ監督に感謝の意を示すように汗をかき、そのプレースタイルはジョゼ・モウリーニョ監督に代わっても評価され続けた。
一方のマドリードでは、入れ替わるように元イングランド代表MFデビッド・ベッカムが中盤に入るが、ジダン、フィーゴ、グティら攻撃に特長がある選手の中で、ボールホルダーを追い回す役割を担う羽目となり、彼自身のストロングポイントが削がれてしまう結果となった。
ペレス会長の“攻撃偏重”路線は現在もなお続いており、マドリードはDF強化を疎かにした結果、今2025年5月11日のバルセロナとの「エル・クラシコ」では、2点先行したものの前半だけで4失点を喫し敗戦(3-4)。ラ・リーガでの逆転優勝は絶望的となった。

マイケル・キャリック(1999-2018)
現在、イングランド2部EFLチャンピオンシップのミドルズブラで監督を務めているマイケル・キャリックも、現役時代は戦術眼に長けた守備的MFとして活躍し、2度のW杯(2006年ドイツ大会、2010年南アフリカ大会)も経験した元イングランド代表だ。
ウェストハム・ユナイテッドの下部組織出身で、1999/00シーズンにトップデビュー。トッテナム・ホットスパー(2004-2006)を経て、2006/07シーズンにマンチェスター・ユナイテッドに移籍した。
当時アレックス・ファーガソン監督から全幅の信頼を得て、派手さはないが正確なパスとゲームの流れを読む能力で、同じくボランチを務めていたポール・スコールズとともにチームを安定させたキャリック。在籍中は地味だが不可欠な存在として5度のプレミアリーグ制覇に貢献。2017/18シーズンには主将も務めた。