
サッカーの見どころの大きな1つは、お気に入りのスター選手が活躍を見せる姿を見られる点だ。しかし当たり前だが、サッカーは11人でするスポーツである。スター選手の活躍の陰には、派手さはないもののチームを陰で支え重要な役割を果たす「縁の下の力持ち」的選手が不可欠だ。
ここでは、献身的な守備でチームを救った名脇役、戦術理解が高く監督の信頼が厚かった選手、ムードメーカーとしてチームを盛り上げた選手など、欧州サッカー界の知られざる英雄を5人挙げ、スポットライトを浴びることが少なかった選手たちの功績や貢献を今一度、称賛したい。目立たないポジションや役割ながらも、チームの成功に大きく貢献した選手ばかりだ。

ディートマー・ハマン(1992-2011)
バイエルン・ミュンヘンの下部組織育ちで、1993年にトップチームデビューした元ドイツ代表MFディートマー・ハマン。当初は右ウイングの控えという扱いだったが、DFローター・マテウスを筆頭に、GKオリバー・カーン、DFクリスティアン・ツィーゲ、DFトーマス・ヘルマーといったドイツ代表選手の中でもまれながら成長した。
1995/96シーズン、オットー・レーハーゲル新監督を迎え、FWユルゲン・クリンスマンなど大型補強を敢行したスター選手勢揃いのバイエルンは「FCハリウッド」などと揶揄される。イレブン同士が協調性を欠く中、若きハマンは途中出場が多いながらも奮闘し、リーグは2位に終ったもののUEFAカップでは優勝。しかし、シーズン後にレーハーゲル監督は解任された。
翌1996/97シーズン、イタリアの知将ジョヴァンニ・トラパットーニ監督が就任すると、ハマンを守備的MFのレギュラーに抜擢しリーグ優勝。その活躍がドイツ代表ベルティ・フォクツ監督の目に留まり、代表デビューも飾った。