共産党の政治活動から足を洗った網野は、共産党との関わりが深い歴史学研究会で他の研究者と積極的に交流することは避けたが、研究面ではなお学界での最先端の議論を意識していた。網野の「独学」証言を再検討する必要がある。

※1)阿部謹也『阿部謹也自伝』(新曜社、2005年、198-199頁)。 ※2)網野善彦・石井進「中世史の現在」(石井進編『中世の村と流通』吉川弘文館、1992年、15頁)。 ※3)網野善彦・小熊英二「人類史的転換期における歴史学と日本」(網野善彦ほか『網野善彦対談集 「日本」をめぐって』講談社、2002年、初出2001年、183頁)。 ※4)『網野善彦著作集』第12巻、岩波書店、2007年、175頁。 ※5)保立道久「解説」(網野善彦『日本中世に何が起きたか』洋泉社、2006年、256頁)、内田力「無縁論の出現――網野善彦と「第二の戦後」」(『東洋文化』89、2009年、203頁)。 ※6)前掲註3対談、147・148頁。 ※7)網野善彦「戦後歴史学の50年」(『網野善彦著作集』第18巻、岩波書店、2009年、初出1996年、31頁)。 ※8)網野善彦「戦後歴史学から学んだこと」(同『歴史と出会う』洋泉社、200年、初出1998年、92頁)。 ※9)網野善彦「戦後の“戦争犯罪”」(前掲註7書、初出1995年、4頁)。 ※10)前掲註3対談、152頁。小熊英二『〈民主〉と〈愛国〉――戦後日本のナショナリズムと公共性』(新曜社、2002年、340~347頁)。 ※11)前掲註3対談、159頁。小熊前掲註10論文、349頁。内田前掲註5論文、200頁。 ※12)網野善彦・川田順三「歴史と空間の中の“人間”」(『網野善彦対談集』第1巻、岩波書店、2015年、初出1983年、72頁)。 ※13)前掲註3対談、148頁。 ※14)網野善彦「人類史の転換と歴史学」(初出1998年、前掲註12書、274頁)、前掲註3対談(182p)など。 ※15)ドイツ語が得意だったことは本人や周囲の人間が証言している。前掲註7書、12・232頁。笠松宏至・勝俣鎮夫「網野善彦さんの思い出」(『図書』698、2007年、6頁)。 ※16)桜井英治「非農業民と中世経済の理解」(『年報中世史研究』32、2007年、40頁)。 ※17)前掲註3対談、170・171頁。 ※18)前掲註7書、32~37頁。 ※19)前掲註7書、34頁。