1960年代の「グランデ・インテル」時代を支えた名左サイドバック、DFジャチント・ファッケッティ(2006年死去)は攻撃的サイドバックの先駆者だ。FWの経験があったため、得点力に長け、現役通算78得点を挙げ、インテルの2度の欧州制覇に貢献した。
マルディーニと同程度の評価を受けた左サイドバックには、アーセナル(1998-2006)、チェルシー(2006-2014)などで活躍した元イングランド代表DFアシュリー・コール(2019年引退)がいる。堅い守備と鋭い攻撃参加で、アーセナルもチェルシーもプレミアリーグ優勝に導き、イングランド代表でも107試合に出場。3度のW杯を経験している。まさに現代的なサイドバックの原型といえる選手だ。
1970年代のアヤックスで「トータルフットボール」の体現者として、リーグ3連覇(1971-73)に貢献した元オランダ代表DFルート・クロル(1986年引退)も、背番号「3」の系譜に入れたい1人だ。攻守に柔軟なプレーで、戦術的知性を感じさせる選手だった。
また、超攻撃的な左サイドバックとしては、レアル・マドリードで11シーズン(1996-2007)もの長い間「3」を背負っていた元ブラジル代表DFロベルト・カルロスという“異才”もいた(2012年引退、代表では6番)。しかし基本的には地味ながらチームのバランスを保つ選手の番号だ。
これら5つの背番号(10、7、9、4、3)は、サッカー史においてそれぞれ独自の役割と物語を持ち、レジェンドたちによって輝きを増した番号だ。10番は創造性、7番はカリスマ、9番はゴール、4番は知性的守備、3番は左サイドバックの多様性を象徴している。
大きい数が当たり前となり、背番号が単なる選手の数字となっている昨今、背番号が持つ重みは少なくなりつつあるのかもしれないが、こうした歴史や背景を知った上で背番号に注目して見るのも、また新たな視点が生まれるだろう。