背番号「9」は今も昔もストライカーの番号だ。ゴール前での冷静さ、決定力、チームの得点を一手に担う責任感を象徴する純粋な点取り屋の証とも言える。9番の歴史は、名ストライカーの系譜と言っても過言ではない。圧倒的な存在感を体現する選手が揃っている。
「デア・ボンバー(爆撃機)」と呼ばれ、バイエルン・ミュンヘンをブンデスリーガ3連覇(1974-76)、ドイツ代表を1974年W杯西ドイツ大会優勝に導いたFWゲルト・ミュラー(2021年死去)。
アクロバティックなゴールとテクニックで、ミランを2度のチャンピオンズリーグ(CL)制覇に貢献し、1988年欧州選手権ではオランダ代表を初優勝に導いたFWマルコ・ファン・バステン(1993年引退)。
強烈なシュートでフィオレンティーナの英雄に君臨した後、2000/01シーズンにローマに移籍し、いきなり優勝に導いた元アルゼンチン代表FWガブリエル・バティストゥータ(2005年引退)。
バルセロナ、インテル、レアル・マドリードで得点を量産し、1997年にはバロンドールも獲得。2002年W杯日韓大会ではブラジル代表を優勝に導き、自らも得点王を獲得したFWロナウド(2011年引退)。
また、9番はゴールを量産するエースに与えられるエースナンバーだが、現代サッカーではFWにも守備のタスクが与えられることが多い。そんな中でも、古き良き背番号「9」の系譜を継いでいるのは、ポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキ(バルセロナ)や、ノルウェー代表FWアーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)あたりだろうか。
現在レアル・マドリードの9番を背負うのはフランス代表FWキリアン・エムバペだが、彼が9番を背負うのは2016/17シーズンに所属したモナコ時代以来とあって(フランス代表では10番)、この系譜に入ってくるには、まだ時間が必要だろう。
