背番号「7」は、ウインガーや攻撃的MFに与えられ、スピードの乗ったドリブルやゴールで試合を決める選手の番号だ。また、カリスマ性を帯びている選手が多いのも特徴だ。
その筆頭が1960-70年代のマンチェスター・ユナイテッド黄金時代を支えた名ドリブラーで、北アイルランド代表MFのジョージ・ベスト(2005年死去)だろう。「5人目のビートルズ」と称されるアイドルで、華麗なドリブルとゴール感覚でユナイテッドを1967/68シーズンのUEFAチャンピオンズカップで初優勝に導き、バロンドールにも選ばれた。
一方、ベストはお世辞にもお行儀の良い選手ではなく、度重なるレフェリーへの悪態で出場停止処分や罰金処分を受け、私生活でもアルコール依存症やギャンブル依存症に苦しんだ。それは引退後も続き、2005年、59歳の若さでこの世を去った。彼の7番は反逆児的な魅力と結び付いている。
その後、ユナイテッドではFWエリック・カントナ(1992-1997)、MFデビット・ベッカム(1992-2003)、FWクリスティアーノ・ロナウド(2021-2022)といった世界的名選手がこの背番号を身に付けた。現在は、今年5月4日のブレントフォード戦で、負傷から復帰後初ゴールを挙げて復活を印象付けたイングランド代表MFメイソン・マウント(2023-)が付けている。
同じプレミアリーグでは、リバプールで活躍したスコットランド代表MFケニー・ダルグリッシュ(1977-1989)も印象的だ。7番を背負い、鋭い動きとゴールで3度の欧州チャンピオンズカップ制覇に貢献。1985/86シーズンには選手権監督に就任し、同クラブ初となるリーグとFAカップの2冠に導いた。
7番を付ける選手は個性派やゲームチェンジャーが多い。ベスト、ベッカム、ロナウドのみならず、元ポルトガル代表MFルイス・フィーゴ(2009年引退)や元日本代表MF中田英寿(2006年引退)ら、カリスマ性があり観客を沸かせる「ヒーロー」の番号と言っていいだろう。
