背番号「10」は、サッカーで最も神聖な番号とされ、トップ下から攻撃を牽引する創造的なゲームメーカーに与えられる数字だ。『キャプテン翼』の主人公・大空翼も南葛中、サンパウロ、日本代表を通じて「10」を背負い、バルセロナに移籍すると10番が空いていなかったため「2+8」を着けた。パスやドリブルでゲームを作り、ゴールも決める「マエストロ」の象徴である。

その始祖といえる存在は、1950年から70年代に掛けて、サントス、そしてブラジル代表を3度のFIFAワールドカップ(W杯)優勝(1958年スウェーデン大会、1962年チリ大会、1970年メキシコ大会)に導いたMFペレ(2022年死去)だろう。彼が背番号10を世界的なアイコンにし、「サッカーの王様」のシンボルとなった。

それに続く存在が、アルゼンチン代表を1986年W杯メキシコ大会で優勝に導いたMFディエゴ・マラドーナ(2020年死去)。縦横無尽なドリブルと予測不能なプレーで、ナポリをセリエA初制覇に導き、W杯でのイングランド戦では「神の手」と「5人抜き」で伝説となった。彼が背負う10番は、情熱と反骨精神を映し出している。

欧州に目を移すと、フランス代表MFミシェル・プラティニ(1987年引退)の名が挙がる。セリエAユベントスでは3年連続得点王、フランス代表を1984年のUEFA欧州選手権優勝に導き「将軍」の異名を取った。エレガントなゲームメイクと正確無比なフリーキックが特徴で、その10番は知性と芸術性を象徴している。

10番は攻撃の核としてクラブや代表で特別な選手に託され、ペレからジーコ、マラドーナ、プラティニ、さらにはMFジネディーヌ・ジダン(2006年引退)、FWリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)へと受け継がれ、ファンタジスタの象徴として観客を魅了し続ける“義務”を背負っているのだ。


ジョージ・ベスト 写真:Getty Images

背番号7:スピードと決断力でチームを勝たせる名手