ほどなく宝成渡船の羽根船長が到着し、忘れ物がないか確認した後、穏やかな湾内に船を進めていく。クロダイ狙いの1組を下ろした後、前週に1.8kgが出たというイカダに渡してもらう。
2人で手早く荷物を下ろし、「頑張って!」という羽根船長の言葉を受けて、タックルの準備をしていく。今回戸松さんはヤエンとエギングの二刀流で攻める。まずは4.5mの磯ザオにアジを付け、湾口方向に投げ込んでいく。

ヤエンのサオ2本を出した後、3.5号のエギをセットし岸に向けてフルキャスト。風もなく波もないので、着底ははっきり分かる。着底後、エギを2~3回細かくシャクり、その後のフォールをじっくり見せていく。
エギで3投ほどしたところで、戸松さんが沖向きに入れていたヤエンのサオの異変に気づいた。ドラグ音は一切鳴っていない。そっとサオを手に取って聞いてみる戸松さん。すると「抱いてます」。
二刀流は忙しい
ヤエンではイカがアジに抱き着き、そのまま走るとドラグが勢いよく鳴いてラインが出される。このときに大事なのは、ドラグを完全フリーにしておくこと。少しでも抵抗がかかると、イカは違和感をおぼえてアジを離してしまう。

そしてイカダならでは難所がロープだ。イカダには固定するために数本のロープが海底に伸びている。このロープに巻かれたりすると、一巻の終わり。
その対策としてはヤエンを入れる前に、ロープをかわしてしまうこと。イカに違和感を与えないよう、ゆっくりゆっくりロープから引き離し、ラインの角度からロープに巻かないと判断してからヤエンを入れるのだ。
またイカが抱いていなくても、アジが元気に泳ぎ回ってロープに巻いてしまうこともある。なので一定時間おきに、アジがどの位置にいるか確認する必要がある。そう、二刀流は忙しいのだ。
