そして、移行に際してしなければならないことの優先順位が示される。
世界の気温上昇を抑制する。 金融システムの国有化。金融が資本主義をこれ以上に刺激しないように 情報技術の提供で多数の人々に高い水準の物質的繁栄をもたらす 労働時間の削減。最終的には仕事は自由意志による。国家の管理目標は資本と労働でなくエネルギーと資源になる。
ゼロ・プロジェクトに国によって違いがあることを、メイソンは承知している。だからインターネットで国際的につながった様々な研究所の必要性を強調する。そこがシミュレーションをやってみることを提案している。それはアカデミズムの世界の現代版のインターナショナルである。
解説
完成した商品の価値を100とする。この生産には様々な要素が投入されている。
労働力40、通常の原材料40、機械などの固定資本の移転分10、そして情報という特殊な原材料10。剰余価値と資本家・経営者の価値形成労働は簡単化のため無視する。
情報を原材料、つまり不変資本、過去の労働とみなすことにはメイソンも同意している。
「ソフトウェアを機械として考えることができる。・・・情報(3D設計、プログラム、モニタリング報告書)も過去の労働として考えるのだ。」(P.287)。
情報の価値は、初期費用(プログラマー、SEの人件費etc.)とそれを使用するのに必要な費用(エナルギー代、通信費 etc. つまり再生・移転コスト)から構成される。初期費用は生産個数が増大するに従ってゼロに近づいていく。薬剤のあるものは大きな発コストがかかる。
しかし、その薬が普及し大量生産されるとともに1剤あたりのコストは下がる。新薬の発売から数年たつと公定の薬価が下がるのは合理的なのだ。強調しておくべきことは、情報の価値がたとえゼロになっても商品価格はゼロにはならないということだ。