しかし、現時点では、関連する犯罪は、すべて公訴時効が完成しており、刑事訴追を受けるおそれはなく、証言拒絶はできない。偽証の制裁の下で真実を証言させることが不可欠だ。
もう一つのポイントは、森友学園問題に関連する刑事事件の捜査処分が適切に行われたのか、不適切だったとすれば、いかなる原因によるものなのかを解明することだ。
国有地売却に関する背任事件、決裁文書改ざんに関する虚偽公文書作成等の事件では、すべて不起訴処分となり、検察審査会で10人について「不起訴不当」の議決が出たが、再捜査の上、再度の不起訴処分が行われた。この時の捜査が果たして適正に行われたのか重大な疑問が生じている。
今回明らかになった「交渉記録の中の政治家関係者に言及する部分の意図的廃棄」は、捜査の対象となっている国有地の売却をめぐる背任罪についての証拠隠滅に加え、公用文書毀棄罪に該当する疑いもある(検察は、保管期限が「事案終了まで」とされていたことから、公用文書毀棄の対象となる「公用文書」には当たらないことを消極判断の理由としたのかもしれない。
しかし、「公用文書」とは、判例上、「その作成者、作成の目的等にかかわりなく、公務所において現に使用し、又は使用に供する日的で保管している文書を総称する」とされている。森友学園疑惑の一連の経過を明らかにするため国会議員から提出を求められていたもので、具体的な使用目的も存在していたのであるから、「公用文書」に当たると解するべきだろう)。
検察の捜査・処分に関しては、当時の捜査の責任者の山本真千子特捜部長(現札幌高検検事長)と、現在、準強制性交罪で起訴され勾留中の北川健太郎元検事正の証人喚問を行うことが考えられる。
一般的に検察官が国会で喚問されない理由
従来、政界汚職事件等について国会で質問が行われても、法務省当局は、
「個別事件についてはお答えを差し控える。なお、一般論として申し上げれば、すべての刑事事件は法と証拠に基づいて適切に処理されている」