今回、財務省の森友学園側との交渉記録の中で政治家関係者に言及する部分が意図的に廃棄され欠落していることが明らかになったことを受け、今後、どのような対応を行うべきか。
問題は二つある。
一つは、国有地の売却に関する交渉記録の公文書を、国会での説明を回避する目的で意図的に廃棄したことについて真相を解明することである。
この問題は、2018年に朝日新聞の報道で明らかになり、厳しい批判を浴びた「決裁文書改ざん問題」以上に、悪質で弁解の余地のない行為だ。決裁文書は、原資料に基づき、決裁手続に必要な事項を記載する書面であり、財務省による改ざんについても、本来決裁文書として不要な記載、言わば「余事記載」を削除したことが中心で、文書そのものの目的を阻害するものではなかったと説明された。
検察が、改ざん行為についての虚偽公文書作成罪の事件を不起訴にした理由について「売買契約の内容などが変更されていない」「虚偽の文書を作成したとまでは言えない」と説明したのも同様の見方によるものだ。
しかし、「文書の欠落」で明らかになったのは、国有地売却に関する原資料そのもの廃棄である。その対象は当時、国会で政治家側の関与やその影響が問題とされ、それに関する真実を明らかにするための公用文書だった。
このような財務省の対応について、当時、理財局長として、責任者だったのが佐川宣寿氏だ。しかも、安倍首相が、森友学園問題での追及を受け、
「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」
と答弁した後、佐川氏は、
「森友学園との交渉や面会の記録は速やかに廃棄した」
との虚偽答弁を行っている。佐川氏自身が、廃棄を指示していた可能性もある。
佐川氏は、決裁文書改ざんが明らかになった2018年3月に参議院予算委員会で証人喚問されたが、「刑事訴追のおそれ」を理由に決裁文書改ざん等についての実質的な証言はほとんど拒絶した。