私が言いたかったのは、国が「任意提出した文書」の名称等の情報の開示を拒むのは、将来の同種事件の捜査への支障のためではなく、今回の森友関連事件の捜査処理が、通常の捜査処理からかけ離れたものだったことがバレないようにするためだったのではないかということだった。
「捜査への影響」を否定し開示請求を認めた控訴審判決
2025年1月30日、控訴審判決が言い渡された。「将来の同種事件の捜査への影響」について以下のように判示し、一審の判断を覆した。
財務省等の判断で任意提出された文書がいかなるものかが明らかになったとしても、これによって捜査機関の本件各被疑事件と同種事犯に対する捜査方針や意図が明らかになるとはいえない。さらに、本件各被疑事件と同種事犯の捜査であっても、当該事案や任意提出を求められる個人や組織等によってその作成又は取得する文書の種類、名称、作成時期・頻度、分量及び保管状況等は多種多様であって、本件各被疑事件における任意提出の結果のみの分析から他の同種事犯にも通用する法則性を見出すのは困難と思料されること等に鑑みると、文書特定情報の通知により本件各被疑事件に係る財務省等の任意提出の範囲が明らかになったとしても、それによって他の同種事犯にも通用する法則性のある捜査手法や捜査機関の関心事項等といった捜査機関にとって機密性の高い情報が推知されるものとは考え難く、将来の同種事犯のみならず犯罪一般の捜査等に支障を及ぼすおそれがあるものとも認められない。
私の意見書を全面的に採用し、一審判決が認めた「将来の同種事件の捜査に支障がある」との国の主張を否定し、開示請求を認める判決だった。
赤木雅子さんにとって、国との裁判での初めての勝利だった。
そして、石破茂首相の決断によると伝えられた国側の「上告断念」によって、「対象文書の特定情報」が開示されることになっただけでなく、財務省は、関連文書を全面開示することになり、その第一弾として開示された2000枚を超える文書の標目から、前記の「文書の欠落」が明らかになったものだった。