調査では、「望まない同意」によるポジティブ・ネガティブの結果を評価する尺度に加え、性行為へのアプローチ動機・回避動機、パートナーとの性的コミュニケーションや信頼感、性的自己効力感や性的自尊心、性に関する不安やストレス(性的苦痛)、性的自己主張の強さ、さらにパートナーによる性的強要経験の有無などを幅広く測定しました。

結果として、男女間でいくつか傾向の違いが確認されています。

男性は女性よりも、性的自己効力感や性的自尊心が平均して高く、さらにアプローチ動機も強い傾向があり、加えて「望まない同意」であってもポジティブな結果をより感じやすいというデータが得られました。

一方、女性はパートナーからの性的強要を経験した割合が高く、不安型愛着や抑うつ・不安症状のスコアも高かったためか、「望まない同意」に対してより強いネガティブ感情を抱く傾向が示唆されました。

特に、セックスそのものが苦痛であったり、心理的圧力を感じていたりする場合、「望まない同意」はネガティブな結果を引き起こしやすいと報告されています。

実際、本研究では「過去1ヶ月間にパートナーにセックスを強要されたと感じた回数」と「性的苦痛(セックスに対する悩みやストレスの度合い)」の二つの要因が、望まないセックス後の嫌悪感や後悔、不安などを強く予測していました。

女性については、「断ると関係が悪化しそうで怖い」といった回避的な動機で応じるほど、後味の悪さや虚しさが増す傾向もみられています。

男性においては、パートナーへの信頼感が低いほど、「望まない同意」に伴う心理的マイナス影響が大きくなることが示されました。

こうした不本意な性交渉を何度も繰り返すと、当座は関係維持に役立ったように見えても、長期的にはセックスへの満足感や心の健康を損ないかねないと警告されています。

積み重なった不満が原因で、パートナーへのわだかまりや燃え尽き状態を招く可能性があるためです。