テスラの人型ロボット「オプティマス」みたいな方向性と石黒教授の研究は全然方向性が違うし、このパビリオンは「技術」を見せるのではなく「ある種のアーティスト的な世界観」を見せるものとして秀逸だった(実は石黒ロボットの運動性能は結構良いのだという話も小耳に挟んだりして)という可能性もありますが、ここ数年AIが異常進化しはじめてから世界中で巨額投資されて試されてる技術トレンドに対して置いていかれてるのでは?という懸念は拭えないですね。

そういう意味では、今回の万博について賛成派の人も、この「国全体で見た予算の割り振り」という観点では色々考えてみて欲しいんですね。

それが「賛成派の人も一緒に考えるべき批判派の意見のポイント」ということなんですよ。

7. 巨額の土木投資が必要なメガイベントの今後

例えば、今回の万博を一個やるのに、会場費だけで2350億円とかかかってる(しかも半年で取り壊しちゃう)んですが、なんと年間の日本の「科研費」が全国の大学の研究室分合わせても2377億円とかでしかない中、日本はこういう「土木投資巨額イベント」となると財布の紐が緩みがちだという批判はまあ免れないと思います。

それに比べると今中国は「中国製造2025」という国家的大投資計画をやってて、総額は秘密に包まれてて想像もつかないですが最先端技術投資に数千億ドル(50”兆”円とかのレベル)の国家投資に加えてさらになりふり構わない減税優遇と低利融資補助をバカスカ投入してたりする。

さっきの日本の「科研費」は”年間”の数字だし純粋学術分野だけの数字だからそのまま比べられるものではないけれども、とはいえ「桁が違う!」感じはありますね。

もちろん、この中国のやり方は「資本主義社会のルール破り」的な話ではあるんですよ。

本来国民の福祉に投資して自分たちの国民の購買力を伸ばして経済を安定化させるべきところ、中国国民の生活向上にはカネを使わず耐乏生活をさせつつ、そもそも「ニーズ」自体がまだないところの最先端技術(ドローン、EV、太陽光パネルその他)に儲け度外視の天文学的国家予算を注ぎ込んで技術力で圧倒的に世界を凌駕しつつある領域がいくつも出てきている。