・収入面を見ても、開放性の影響は驚くほど控えめです。年収と正の相関があること自体はメタ解析で確認されていますが、標準化係数は0.05前後とごく小さく、外向性や誠実性ほど強い効果はありません。言い換えれば、低開放性だから大幅に稼ぎにくいというより、好奇心旺盛な人が斬新なアイデア産業で少しだけ優位に立つ、というレベルにとどまります。
・結婚や離婚との関連も微弱です。夫婦満足度を扱ったレビューでは、満足度を大きく決めるのは神経症傾向や誠実性であり、開放性はほぼ無関係という結果が繰り返し得られています
・政治的・社会的価値観では開放性が保守主義と最も強い負相関(約−0.18)を示すことを突き止めました。開放性が低いほど伝統と秩序を重視し、多文化や急進的改革には慎重な姿勢をとりやすいという傾向は、世界的にかなり再現性が高いようです。
(※開放性の低さとこれらの要素は相関関係にありますが、開放性の低さと直接的な因果関係があるかまでは断言されていません。)
では、絵文字多用派と控えめ派では、文章の内容にも何か違いがあるのでしょうか?
研究チームは投稿内の単語の使われ方についても分析結果を報告しています。
その結果、絵文字を頻繁に使う人の投稿ほど、「家族」や「うれしい・悲しい」といった感情表現に関する言葉を多く含み、逆に分析的・抽象的な内容に関連する単語(例えば英語の冠詞の “the” や “a” に相当する言葉、物事の「洞察」に関する言葉など)が少ない傾向が見られました。
言い換えると、絵文字を多用する投稿ほど、人間関係や感情に焦点が当たり、抽象的な話題は少ないようなのです。
さらに2回目の大規模サンプルでは、絵文字を多く使う人ほど「あなた」「私」といった代名詞や、「no」「not(〜ない)」など否定を表す表現、過去・未来といった時間に関する言及が多い一方で、使用している語彙の種類(辞書語彙の豊かさ)が少ない傾向も確認されました。