卵を縦向きに落とすより横向きの方が衝撃に強いと分かったことで、こうした台所での「ゆで卵あるある」にも科学的な説明がつく可能性があるのです。
今回のMITによる研究は、誰もが疑わずに信じていた定説をデータで検証し、覆してみせた点で大きな意義があります。
「卵は縦向きが強い」という広く受け入れられてきた“直感的な常識”は、厳密に試してみる価値があったと言えるでしょう。
この成果は卵の殻という身近な対象を通して、私たちに科学的探究心の大切さを教えてくれます。
研究チームは次のように述べています。
「この論文は、直感ではなく経験とデータに頼ることの価値を思い出させてくれるものです。」
「身近で当然と思われていることでも疑問をもち、実験してみれば新たな発見があるかもしれない。」
「私たちの研究が学生や若い人たちに好奇心を持ち続け、馴染みのある前提さえも問い直してみるよう促すきっかけになれば嬉しいです。」
私たちの周りの物理世界には、まだまだ常識に隠れた不思議が眠っているのかもしれません。
卵の割れ方一つとっても、そこには「なぜだろう?」と問い、その答えを探求する面白さが詰まっているのです。
全ての画像を見る
元論文
Challenging common notions on how eggs break and the role of strength versus toughness
https://doi.org/10.1038/s42005-025-02087-0
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部